2011 Fiscal Year Annual Research Report
非線形・非平衡物理的視点からの宇宙のダークエネルギー問題
Project/Area Number |
21740199
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
森田 正亮 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 准教授 (50390563)
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Keywords | 宇宙物理 / 理論天文学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宇宙のダークエネルギー・ダークマターの物理的実体やオーダーの一致問題を解明する上で、非線形・非平衡物理的な視点がいかに寄与するか、を考察することにある。平成23年度は、昨年度まで重点的に行ってきた「非一様構造によるエントロピー」に関する結果の取りまとめ、および修正重力理論に基づくダークエネルギーモデルでの重力波」に関する考察を行った。 宇宙のダークエネルギーに関して、現在までにたくさんの理論上可能なモデルが提案されている。これらの多くは、宇宙の一様な成分のみを考え、宇宙膨張が観測的に無矛盾であるように構築されているが、現実の宇宙は大規模構造などの非一様性を有している。この非一様性がもたらすエントロピーを情報理論に基づいて考察し、その構築の仕方と時間的増大性を検討してきた。その結果、非常に一般的な条件のもとで、エントロピーは必ず時間的に増大することが明らかになっており、この結果の取りまとめを行った。また、ペンローズによる、いわゆる「ワイル曲率仮説」で提案される重力場のエントロピーを構築でき.る可能性についても検討した.さらに、ダークエネルギーモデルとして、現在さかんに研究されているf(R)-形修正重力理論によるものを考え、このモデルが加速的な宇宙膨張を与える場合に、標準宇宙モデルと比べて非一様性の進化、特に背景重力波のスペクトルにどのような違いが現れるかを定量的に計算した。 これらの研究に関して、東京工業大学の細谷暁夫氏、お茶の水女子大学の森川雅博氏、日本女子体育大学の牧琢弥氏と議論を行った。また、その研究成果をスペイン・マドリードにおいて行われた国際会議、およびベトナム・クイニョンにおいて行われた国際会議で口頭発表した。
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