2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740204
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宇都野 穣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10343930)
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Keywords | 原子核構造 / 殻模型 / 殻構造 / 有効相互作用 |
Research Abstract |
前年度作成した、普遍的モノポール相互作用に基づくsd-pf殻有効相互作用の適用性を確かめるため、中性子数28以上の中性子過剰核の殻模型計算を進めた。中性子数が28を超えると陽子軌道はd_<3/2>軌道が再び一番高いsd軌道になると前年度予言されたが、その実験的証拠を見つけるため、カリウム同位体からのベータ崩壊確率を計算した。その結果、中性子数32である^<51>Kの基底状態は3/2^+でなければ実験値を説明できないことがわかった。カリウム同位体はsd殻の1空孔状態となっているため、d_<3/2>軌道が最も高い陽子のsd軌道であることが示された。 これまでの殻模型計算は、魔法数20の殻ギャップを超える核子の励起を許さない殻模型計算であるが、カルシウム同位体などでは、核子励起した状態が低励起状態として系統的に知られている。これらを殻模型で記述するのはハミルトニアンの次元数が巨大になりすぎるために極めて困難であるが、その計算を可能にすべく、モンテカルロ殻模型計算法を発展させた。今年度はエネルギー分散の外挿法をモンテカルロ殻模型に導入することで、精密なエネルギー固有値が与えられることを示した。 カルシウム同位体と同様に、魔法数8を持つ酸素同位体でも殻ギャップを超えた核子励起を伴う状態が知られているが、従来、殻模型では、起源が明らかでない現象論的補正なしにはこうした状態を再現できてこなかった。p-sd殻を模型空間に採った殻模型計算によって、酸素同位体の核子励起状態と殻ギャップとの関係について調べた。その結果、核子励起を許すことによって相関エネルギーが生じることから、核子分離エネルギーで見積もられた殻ギャップエネルギーは不適当であり、その補正が、従来起源が不明であった現象論的補正に対応することがわかった。
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Research Products
(13 results)