2009 Fiscal Year Annual Research Report
基準偏光源の開発と受信機最適化による原始重力波起源のCMB偏光成分の探索研究
Project/Area Number |
21740205
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
長谷川 雅也 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 助教 (60435617)
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Keywords | 宇宙背景放射 / インフレーション / 偏光 |
Research Abstract |
本研究では、宇宙背景放射(CMB)偏光観測に用いる観測機器の精密校正のための基準偏光源の開発を行う。この基準偏光源は、エコソーブと呼ばれる黒体輻射源を冷却して~20K程度の黒体輻射を発生し、それを金属板で反射させる事でCMBを模擬した偏光波を発生させる物である。 従来のエコソーブは、主に熱伝導度の悪いスポンジタイプの物が主流であり、1m角程度のエコソーブを一様に冷却するために液体窒素等の液体冷媒を用いて来た。ただし液体冷媒を用いた場合、常に冷媒を補充し続けなければならない等取り扱いが容易で無く、長時間の安定使用が難しい。次世代のCMB実験では1000個以上の観測機器を較正する為、より扱いやすく長期間安定な偏光源が求められる。 そこで、本年度は機械式冷凍機からの伝熱で冷却可能な、熱伝導度の良いエコソーブの開発を行った。製作の容易さ、原材料の入手の容易さ等から、E&CエンジニアリングのCR-112というタイプの樹脂を材質として選択した。原理検証として20cm角四方のエコソープを製作し、GM冷凍機(SHI, 408S)にて冷却した所期待通り20Kまで冷却を確認し、またフィルムヒータを用いて、温度を20~300Kの範囲で制御可能な事も確認した。 現在これらの原理検証を踏まえて、プロトタイプを製作した所であり、今後は実際にQUIET実験の受信機を用いて、システムの原理検証を行う。計画は予定通り進行中であり、来年度はシステム全体の原理検証を行った後に、QUIET実験-IIで用いる1600個の受信機の較正試験を開始する予定である。
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