2009 Fiscal Year Annual Research Report
マグネターの正体解明へ向けた超強磁場での陽子サイクロトロン吸収線の発展的研究
Project/Area Number |
21740207
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中川 友進 The Institute of Physical and Chemical Research, 牧島宇宙放射線研究室, 基礎科学特別研究員 (50513454)
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Keywords | マグネター / 中性子星 / パルサー |
Research Abstract |
観測的・理論的な研究により、我々の宇宙にはB~10^<15>Gもの超強磁場を持つ中性子星である「マグネター」が提案されている。本研究の目的は日本のX線天文衛星「すざく」を用いた観測的研究により、陽子のサイクロトロン共鳴散乱による吸収線を発見し、マグネターの磁場強度を直接的に測定することである。これは世界初の大発見になるだけでなく、B>4.4×10^13Gでのみ可能な物理学の研究が初めて現実となる「宇宙の超強磁場実験場」の開拓になる。 SGR 0501+4516は発見後しばらく活発なバースト活動を示していた。私は即座に「すざく」衛星を用いた緊急観測を提案し採択され、2008年8月26日に実施された。31個(全32個)の暗いバーストのスペクトルを足し合わせたところ、吸収線は見られなかったが、定常放射にのみ見出されていた硬X線放射をバーストから初めて検出した。バーストと定常放射のスペクトルは、ソフト成分の二温度黒体放射だけでなく、ハード成分は硬X線放射の共通点を持つことを明らかにした。さらにHETE-2衛星が捉えた55個のバーストのソフト/ハード成分の光度を見積り、両者は約5桁に渡って相関することを見出した。これはバーストと定常放射が基本的に同じ機構で生成される事を示しており、定常放射は多数の極小バーストで構成されるという我々の仮説を支持する。この研究成果は投稿論文を準備中である。 昨年度に事前提案を行った静穏状態の系統的な観測が採択された。今年度は実際に観測が行われ、解析は進行中である。また今年度はマグネターが活発なバースト活動を示した際に行う観測の事前提案を行い、現在審査中である。
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