2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子核におけるガス的クラスター構造、及びクラスターによる量子凝縮状態の研究
Project/Area Number |
21740209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
船木 靖郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 準研究員 (00435679)
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Keywords | 原子核 / クラスター構造 / α凝縮 |
Research Abstract |
原子核の基底状態は通常殻模型的構造を持つことが知られており、密度の飽和性に基づいて液体的構造を有している。これに対し、励起状態にα粒子からなる気体的クラスター構造状態が生じ、更にそれらが最低エネルギー軌道を占有する、α凝縮現象が起こることが最近になって知られるようになった。これは今まで議論されたことのない全く新しい構造であり、現在まで、ホイル状態と呼ばれる^<12>C原子核の第二0^+状態でそのような量子状態が実現されていることが明らかになっている。 1.前年度に引き続き、このような状態を最適に記述する微視的模型波動関数を^<16>O,^<12>C原子核に適用した。α凝縮度の定量的評価等詳細な解析を行い、その結果を論文に纏めた。2.また半微視的模型を用いて、^<11>B原子核励起状態におけるα+α+tからなるガス的構造状態の可能性を調べた。これについても、α凝縮度の評価を中心として、ホイル状態との類似の状態として、α+α+t閾値近傍に2番目(1/2)^+状態が存在しかつ大きな核半径とガス的構造を持っていることを示した。結果を論文に纏めた。3.半微視的模型を用いて、4つのα粒子による4体問題をこれまでより格段に広い模型空間を用意し解く計算コードを開発した。これは^<16>Oにおける4α閾値近傍程度までの励起スペクトルをJ^π≠0^+の状態に対しても再現し、かつ複素回転法等の境界条件を付した研究を行うために必要である。またこれにより従来存在が予言されている4α直線鎖構造状態とガス的構造状態を同時に再現することも可能になると考えられる。計算コードは超並列計算用にチューニングしてあり、今後の発展を望んでいる。
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