2011 Fiscal Year Annual Research Report
Mg同位体の励起状態の磁気モーメント測定による核構造研究
Project/Area Number |
21740210
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
市川 雄一 独立行政法人理化学研究所, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, 客員研究員 (20532089)
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Keywords | 不安定原子核 / スピン整列 / 加速器 / 核磁気モーメント / ガンマ線 |
Research Abstract |
本研究では、不安定核励起状態の核磁気モーメントを測定し、中性子過剰領域における「Island of Inversion」と呼ばれる異常核構造の発現機構を明らかにすることを目的とする。 本年度は、前年度に行った「Island of Inversion」近傍核^<32>A1の核異性体励起状態を対象とした核磁気モーメント測定実験に関して、新たな核スピン整列RIビーム生成法の評価、および実験で得られた核磁気モーメントを通じた核構造研究を行った。 本研究で開発した新しい核スピン整列RIビーム生成法である分散整合二回散乱法では、目的の核より一核子多い核を経由して目的核を生成する。二段階目の反応として一核子除去反応を選び出すことで、核スピン整列度を最大限に高めつつ、さらに分散整合条件を満たすことによってスピン整列度を保持したまま収量の増加を期待できる。理研RIBF施設において行った実験では、一次ビーム^<48>Caから^<33>Alを経由することにより、8(1)%のスピン整列度をもつ^<32>AlのRIビームを生成することに成功した。今回の^<32>Alビーム生成の場合に関しては、分散整合二回散乱法によりスピン整列を生成することで、従来行われてきた一回散乱法に比べて50倍以上の効率向上が達成された。 本実験では、分散整合二回散乱法によりスピン整列^<32>Alビームを生成することで、^<32>Alの核異性体の核磁気モーメントを初めて測定することに成功し、^<32>Alの核異性体のスピンパリティが4^+であることを確定した。実験的に確立した^<32>Alの準位構造は、通常の相互作用および配位空間を仮定した殻模型計算による準位構造と異なっていた、すなわち準位の逆転が起こっていた。しかし、さらに粒子-空孔置換計算との比較を行った結果、^<32>Alにおいては「Island of Inversion」のような軌道配位の逆転がなくとも殻模型計算と比較した際の準位の逆転は起こりうることが明らかになった。
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Research Products
(12 results)