2009 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論が宇宙とブラックホールの量子論に与える示唆
Project/Area Number |
21740216
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Research Institution | Okayama Institute for Quantum Physics |
Principal Investigator |
関野 恭弘 Okayama Institute for Quantum Physics, 研究員 (50443594)
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Keywords | 素粒子論 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
超弦理論は、重力の量子化を実現しうる唯一の理論であることから、物理学の根本理論の有力な候補だと考えられている。当研究では、これまでの超弦理論の発展を踏まえて、(1)超弦理論が示唆する宇宙像の解明、(2)ブラックホールにおける情報の問題への超弦理論からの解答、の2点を目標とする。超弦理論において、我々の宇宙のような加速膨張する(正の宇宙項を持った)宇宙をどのように扱えばよいかはこれまで分かっていなかったが、近年、超弦理論には正の宇宙項を持った解が多数存在し、それらの解は準安定であり、量子的トンネル効果により、より低い宇宙項を持った宇宙に崩壊する、という「超弦理論のランドスケープ」と呼ばれる描像が明らかになり始めた。これまでの研究は、低エネルギー有効理論に依っていたという点で不完全であったため、私は、ランドスケープの理論的基礎付けを目指し、トンネル効果によって生成された宇宙を記述する非摂動的定式化の研究を行った。本年度は、2006年に提案した2次元共形場理論による定式化を精密化した。特に、宇宙における時間発展と2次元理論の繰りこみ群変換との関係を明らかにした。また、トンネル効果という宇宙の起源が観測に与える影響に関する研究を進めた。また、並行して、超弦理論のひとつの非摂動的定式化として知られているマトリックス理論(行列の量子力学)を研究した。この理論の強結合ダイナミクスを理解することは、ブラックホールの微視的(量子的)性質の解明につながると考えられている。本年度、モンテカルロ法による数値的解析により相関関数を求め、以前、ゲージ重力対応によって予言した特殊な冪則に従う相関関数が高い精度で再現されることを確かめた。
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Research Products
(3 results)