2011 Fiscal Year Annual Research Report
経路積分モンテカルロ法によるメゾスコピック素子の動的応答解析
Project/Area Number |
21740220
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 岳生 東京大学, 物性研究所, 准教授 (80332956)
|
Keywords | 物性理論 / メゾスコピック系 / 量子ドット / 量子コンピュータ / 量子細線 |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き、量子ドットにおける単一光子生成の理論研究を行った。発光スペクトルの時間依存性などを考察し、前年度の成果とともに論文にまとめた(投稿中)。さらに、ここで培われた理論手法を量子ドット-エッジ状態複合系に適用し、単一電子生成のダイナミクスの考察に着手した。ケルディッシュグリーン関数の手法を用いて、量子ドットとエッジ状態間のクーロン相互作用の影響をはじめて考察し、フェルミ面に由来する特異性(フェルミ端効果)が生成された電子に及ぼす影響を摂動計算によって評価した。その結果、生成された電子のスペクトルは、通常のローレンツ型と大きく異なり、非対称な形状をもつほか、フェルミ面近傍に新たなピーク構造が得られることを示した。また、二粒子干渉で重要となる生成電子の純粋度をはじめて評価し、現実的なクーロン相互作用のもとでは電子の純粋度は影響をうけるものの、純粋度を数十パーセント程度下げる効果にとどまることを示した。この成果(論文準備中)は、量子ドットでのダイナミクスを考察する礎となると考える。 平成23年度では、ナノスケール素子の動的特性に関して、さらなる研究の発展も模索する目的で、(1)近藤状態にある縮退量子ドット系の完全係数統計、および(2)p波超伝導接合の電流電圧特性についても研究を行った。前者においては、弱相関領域から強相関領域までをカバーする摂動繰り込み群の計算を行い、異なる軌道間の電流相関について理論的評価を行った。後者においては、カイラルp波超伝導が発現していると期待されるルテニウム酸化物で、weak-link型のジョセフソン接合の特性を調べる目的で、リング形状のサンプルの外部磁場依存性を調べた。
|
Research Products
(6 results)