2011 Fiscal Year Annual Research Report
単離された単層カーボンナノチューブにおける励起状態ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
21740225
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 剛史 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20509070)
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Keywords | 光物性 / ナノ材料 / カーボンナノチューブ / 超高速現象 |
Research Abstract |
1.PFOで囲んだ単層カーボンナノチューブにおける励起子緩和過程の観測 昨年度成功したPFO(ポリフルオレン)で囲んだ単層カーボンナノチューブのトルエン溶媒中での濃縮法により試料を作製した。この試料中に存在するカイラル指数(7,6)の単層カーボンナノチューブを対象として、フェムト秒(fs)~ピコ秒(ps)領域にわたる発光カイネティクスをアップコンバージョン法によって観測した。その結果、観測された発光は数百fsおよび数ps~数十psの時定数をもつ減衰を示すことがわかった。比較として、一般的な界面活性剤を用いて孤立分散処理をした単層カーボンナノチューブの発光カイネティクスを観測し、減衰時定数は上と同程度であることがわかった。後者試料においてバンドル化したチューブの存在が指摘されていること、バンドル中のチューブ間励起子移動がおよそ数百fsで起こることから、数百fsの時定数をもつ発光成分は試料中に残るバンドル化したチューブに由来することが考えられる。この結果は、PFOを用いた孤立化処理でも、その方法によってはチューブの完全な孤立化が難しいことを示唆している。 2.半導体単層カーボンナノチューブにおける高エネルギー励起子状態の緩和 密度勾配超遠心分離法により孤立分散処理された半導体単層カーボンナノチューブ試料を作製した。このチューブの第2伝導帯の電子と第2荷電子帯の正孔から形成される励起子の発光カイネティクスをアップコンバージョン法によって観測した。その結果、この高エネルギー励起子発光は40fsの減衰時定数をもつことがわかった。これは、第2バンドから第1バンドへの励起状態緩和が40fsの時定数で起こることを示している。この超高速バンド間励起子緩和は先行研究の過渡吸収測定によって示唆されていたが、本研究により、励起子分布の緩和をより直接的に観測することが可能である発光測定によっても確かめられた。
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Research Products
(7 results)