2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740226
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太野垣 健 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80422327)
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Keywords | 光物性 / 半導体物性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
オージェ再結合過程は、半導体ナノ構造における高密度光励起状態で顕著に現れることが知られており、シリコンナノ構造をベースとしたレーザーや高効率太陽電池などの光電子デバイスでも顕著になると考えられる。本研究では、シリコンナノ構造における多体電子ダイナミクスの制御を目的として、様々な構造のシリコンナノ物質や電場印加を行ったナノ構造半導体について高密度光励起状態の解明を行った。発光ダイナミクスの測定を行い、オージェ再結合などの高密度光励起キャリアダイナミクスの解明を進め、これを制御する方法の開拓を行った。本年度は、量子閉じ込め効果が現れるようなナノメートルサイズの半導体ナノ構造であるシリコンゲルマニウム混晶量子井戸における電場効果とゲルマニウム量子ドットにおける高密度励起効果について研究を進めた。試料表面に電場印加を行った結合量子井戸において、発光強度の印加電場強度依存性、励起光強度依存性を調べた。強励起条件においてはオージェ再結合が顕著に現れることがわかった。弱励起条件においては発光強度が電場印加によって奇妙な振る舞いを示すことを見出した。高電場を印加条件において発光強度が増大する振る舞いに関して、インパクトイオン化によるキャリア増大の可能性を検討した。また、シリコン中のゲルマニウム量子ドットについて、高密度励起発光ダイナミクスを調べた。作製条件の異なる量子ドットにおいて、発光エネルギーや励起光強度、試料温度に対する、発光ダイナミクスの振る舞いを詳細に調べた。高密度光励起状態において、発光スペクトル形状、発光ダイナミクスに大きな変化が見られ、そのような発光特性の変化がオージェ再結合の出現によって理解できることがわかった。
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