2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740231
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅野 建一 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10379274)
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Keywords | 電子正孔系 / 励起子 / 励起子分子 / ハバードモデル / カーボンナノチューブ / グラフェン / サイクロトロン共鳴 / コーンの定理 |
Research Abstract |
ノンドープープ半導体を光で強く励起し、伝導帯に電子、価電子帯に正孔を多数作って、これらがバンド内緩和するのを待つと、電子正孔系の準平衡状態が実現される。またタイプII量子井戸やセミメタル系も電子正孔系を実現する舞台である。レーザーデバイスへの応用も視野に入れながら、この系の研究を推進した。本年度の成果を以下に列挙する。 (1) グラフェン上のサイクロトロン共鳴に現れる電子間相互作用の効果について調べた。単層系と二層系の違い、スピンや谷自由度の効果についても考察して、相互作用効果がモード間反発と散乱による線幅の増大という形でスペクトルに現れることを明らかにした。単層グラフェンのN=0から1への遷移に対する線幅は非常に小さく抑えられるのに対し、単層グラフェンにおけるN=-1から2への遷移や、二層グラフェンのN=1から2への遷移に対応する線幅は非常に大きくなることを見出した。 (2) グラフェンを丸めた一次元系である半導体カーボンナノチューブ系の励起子分子について考察し、遮蔽効果によって束縛エネルギーが著しく減少することを明らかにした。この計算ではバンドの非放物線性、RPAレベルの遮蔽効果、自己エネルギーによるバンドの変形等の効果がすべて考慮されている。 (3) 密度不均衡がある電子正孔二層系において平均場近似を使って量子凝縮相を調べ、クーロン相互作用の長距離性(パリティー混合効果)が、FFLO (Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov)を安定化することを明らかにし、従来の理論計算の結果を大幅に書き換えた。 (4) 動的平均場理論で高次元電子正孔ハバードモデルを扱い、そこで得られた格子系の情報から、連続体モデルの情報を引き出す新しい手法を開発した
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