2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740232
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大橋 琢磨 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20452419)
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Keywords | 物性理論 / 半導体光物性 / 光物性 / 強相関電子系 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
多バンド系における電子相関効果は,古くから研究されている電荷・スピン揺らぎに加えて,軌道揺らぎが本質的に新しい物性を生み出す可能性を秘めており,近年活発に研究がおこなわれている.本研究では,3軌道ハバード模型を取り上げ,フント結合と軌道分裂の競合について,動的平均場理論と連続時間量子モンテカルロ法を用いて調べた.特に格子点あたりの電子数が2である場合における金属絶縁体転移(モット転移)を調べた.二重占有率の解析から相転移点を求め,軌道分裂幅と相互作用の強さに関する相図を得,フント結合と軌道分裂の競合により,モット転移のリエントラント的振る舞いが現れることを明らかにした.モット転移後の絶縁相には,特徴の異なる2種の絶縁相が現れる.一つは通常のモット絶縁相であり,もう一つは相関の強いバンド絶縁相である.この系におけるモット転移のリエントラント的振る舞いは,,上述したフント結合と軌道分裂の競合により,軌道揺らぎの大きさが非単調に増減することに起因し,絶縁相の性質とも密接に関連することが明らかとなった.また,有限温度における解析を行った結果,温度に対してもリエントラント的振る舞いの兆候が見られた.モット絶縁相では局在スピンの自由度によるエントロピーが残るため,相境界付近においてモット絶縁相は金属相よりも高温側に現れる.一方,バンド絶縁相に上記のエントロピー利得は無く,金属相よりも低温側に現れる.二種類の絶縁相が競合するパラメータ領域においては,相境界に上記の二種類の性質が反映され,リエントラント的振る舞いの兆候が見られた.
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Research Products
(4 results)