2009 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系高分子の結晶性薄膜におけるフレンケル励起子とその光物性
Project/Area Number |
21740233
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小林 隆史 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 助教 (10342784)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 物性実験 / π共役系高分子 / 光物性 / フレンケル励起子 |
Research Abstract |
π共役系高分子は適当な結晶性薄膜を作製すると、分子間相互作用に基づく高いキャリア移動度が得られることから、近年有機トランジスタや有機太陽電池の材料として注目されている。特に有機太陽電池では、光励起によるフォトキャリア生成がその光電変換効率に直接影響することから、光励起状態を正しく理解することが不可欠である。当該研究課題では、結晶性薄膜における分子間距離の制御により、1次元ワニエ励起子とフレンケル励起子を区別し、その光物性を明らかにすることを目的としている。初年度は結晶多形の作り分け法の改良と、また孤立分子での1次元ワニエ励起子物性を明らかにすることを目指した。前者は、特定の材料に限定されるものの高品質な結晶性薄膜の作り分けに成功し、次年度に光物性の評価へ進む目処が立った。また後者ではπ共役系高分子の光学特性は大気(酸素や水分)の影響を受けやすいことを明らかにし、封止技術によりそれを防ぐ手立てを確立した。さらに、別のπ共役系高分子ではあるものの、分子間隔が十分離れた高秩序薄膜で、1次元ワニエ励起子の性質を線形および非線形光学分光により詳細に調べた。特に高い二色比の得られる配向膜で、特徴的な偏光依存性が得られ、いくつかの励起子バンドが重なり合って観測されていることなどが分かった。次年度は、これらの技術と知見を元に、同一高分子での分子間隔と励起子物性の相関について明らかにする予定である。
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Research Products
(4 results)