2010 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系高分子の結晶性薄膜におけるフレンケル励起子とその光物性
Project/Area Number |
21740233
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小林 隆史 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (10342784)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 物性実験 / π共役系高分子 / 光物性 / フレンケル励起子 |
Research Abstract |
前年度、π共役系高分子の結晶性薄膜の高品質化に取り組み、また封止技術を導入し、より詳細に光学特性が評価できる環境を整えた。最終年度はこれらのサンプルを用いて以下のことを明らかにした。1)結晶多形が得られるπ共役系高分子の結晶性薄膜の励起スペクトルを測定し、分子間隔を広げた結晶性薄膜の方が大きなストークスシフトを示すことを見出した。どちらの結晶性薄膜でも高分子は平面的な形態を取り、捻じれはないと考えられることから、この違いは分子間相互作用に起因するものと考えられる。また分子間隔が狭い(~3.8Å)結晶性薄膜が小さなストークスシフトを示すことから、この領域ではもはやポイントダイポール近似が成り立たないと考えられる。2)HOMOの浅いπ共役系高分子が酸素や水分の影響を受けやすいことは広く知られているが、電子状態を議論する際に用いられる非線形分光の測定結果は、特に酸素や水分に敏感であり、定量的な議論には封止が不可欠であることを明らかにした。3)π共役系高分子の結晶性薄膜では、電場変調スペクトルのバンドギャップ近傍に振動構造が現れる。特定の高分子の単結晶ではフランツケルディッシュ振動と帰属されているが、必ずしもそうでない場合があることを見出した。これは複数の励起子準位が狭いスペクトル範囲に現れ、その結果現れたものと考えられる。一見すると似た性質を示すので、フランツケルディッシュ振動の判別法も提案した。
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