2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の高圧結晶化とX線結晶構造解析による高エネルギー構造の決定
Project/Area Number |
21740234
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山下 基 立命館大学, 総合理工学研究機構, ポストドクトラルフェロー (30424998)
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Keywords | タンパク質 / ユビキチン / 高圧 / 結晶化 / 分子ステップ / 界面モルフォロジー |
Research Abstract |
1.超高圧環境下でのタンパク質結晶の生成・育成技術の確立 本研究では、3500気圧の環境下でユビキチンタンパク質を結晶化させることに成功しました。通常のタンパク質結晶の育成では、希薄タンパク質溶液に沈殿剤を加えることでタンパク質をゆるやかに析出・成長させるのが"常識"ですが、タンパク質の溶解度が大きく減少してしまう高圧環境下では適用することが出来ません。本研究では、飽和溶液に沈殿剤を加えて過飽和状態にしたうえで、別の容器で育成した結晶を多量に加えて"超"過飽和状態を作り出すことで十分な過飽和度を維持し、高圧環境下においてタンパク質結晶を析出させ、成長させることに成功しました。 2.高圧環境下での分子ステップ観察技術の開発 良質のタンパク質結晶を得るためには、結晶成長過程において、タンパク質の結晶構造解析を行うためには、欠陥の少ない結晶を育成することが不可欠です。本研究では、高圧環境下で位相差顕微鏡を用いることで、結晶表面の分子スケールの段差(分子ステップ)を可視化することに成功しました。この技術によって、結晶欠陥につながりやすい表面のラフネスを監視し、リアルタイムで結晶成長界面の状態を制御しながら結晶の育成を行うことで、欠陥の少ない、高品質のタンパク質結晶を成長させる手法を開発しました。 3.高圧下での結晶成長機構解明と結晶成長条件の最適化 高圧結晶化をユビキチン以外のほかのタンパク質にも適用化できるよう、一般化することを目的として、結晶成長面上での分子ステップのモルフォロジーと移動速度の温度・圧力依存性を詳細に定量化しました。その結果、昇圧と温度低下、減圧と昇温を組み合わせた際に結晶成長条件が最適されることを導き出しました。高圧環境を利用した結晶成長は、ユビキチンタンパク質と同じ、正方晶系のタンパク質に対して特に有効である可能性が示唆されました。
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Research Products
(8 results)