2009 Fiscal Year Annual Research Report
極低エネルギー光電子分光による多数f電子系重い準粒子状態の直接観測と形成起源解明
Project/Area Number |
21740235
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
山崎 篤志 Konan University, 理工学部, 准教授 (50397775)
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Keywords | 光電子分光 / 強相関電子系 / バルク電子状態 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では,f電子系強相関物質を中心とする物質群に対して,極低工ネルギー光電子分光(ELEPES)及び,軟X線,硬X線を用いた高エネルギー光電子分光によるバルク電子状態の解明及び重い準粒子の形成メカニズムについての包括的な理解を目指している.平成21年度には,従来のHe励起光よりもエネルギー分解能,バルク感度の向上が期待できるXe光を使用してエネルギー分解能の性能確認を行うとともに,微小純良単結晶に対するELEPES実験を実施可能にするために単色化,集光機構を導入した.集光にはトロイダル鏡を用い,複数の励起光源による実験を可能にするため,KrおよびArの単色化用にCaF_2およびLiF単色化フィルターを取り付けた.また,試料形状に依存せずにつねに高い光電子放出強度を観測することを可能とするために,ビームスポット位置の調整を可能にするような設計変更を行った.これにより,PrFe_4P_<12>, SmOs_4Sb_<12>などの微小試料に対してELEPES実験が実施可能となった. また,ELEPESと相補的にバルク電子状態に関する知見を得ることが可能な高エネルギー光電子分光実験を行った.具体的には,バルクにおける伝導電子-希土類4f電子間の混成強度などに関する知見を得ることを目的として,8keVの硬X線を使ってPrFe_4P_<12>およびNdOs_4Sb_<12>の希土類3d内殻光電子分光を行った.また,SmOs_4Sb_<12>に対しては軟X線を用いたSm3d-4f共鳴光電子分光を行い,価電子帯の比較的広いエネルギー領域におけるスペクトルの温度変化を調べた.これらの結果については,現在解析中である.
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