2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子縮退領域における1次転移の臨界終点がもたらす量子現象とその波及効果の解明
Project/Area Number |
21740240
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 真仁 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 特任准教授 (40334346)
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Keywords | 価数転移 / 量子臨界現象 / メタ磁性 / 非フェルミ液体 / 重い電子系 / Ce化合物 / Yb化合物 |
Research Abstract |
CeやYb化合物において、CeやYbの価数が跳びを示す一次相転移の臨界終点が絶対零度まで抑制された量子臨界点の性質を理論的に調べた。今年度は特に、本質的に電荷のゆらぎに起因する価数転移の量子臨界現象が、磁場と圧力によってどのように制御されるのかを明らかにした。その結果、磁場をかけることにより、価数転移の量子臨界点が誘起されることを見出した。これにより、ゼロ磁場ではフェルミ液体にしたがう常磁性物質でも、磁場をかけることにより、電気抵抗が温度に比例する非フェルミ液体的振る舞いや、磁化率が発散するメタ磁性などの異常な現象が引き起こされることを示し、その起源は磁場誘起の価数転移の量子臨界現象であることを明らかにした。この結果は、これまで謎とされてきた、CeIrIn_5の磁場下での電気抵抗の温度依存性やメタ磁性の起源を自然に説明することを指摘した。また、YbAgCu_4とYbCdCu_4が同程度の近藤温度をもつにもかかわらず、なぜYbAgCu_4だけが磁場下でメタ磁性的振る舞いを示すのか、その理由を自然に説明することを指摘した。さらに、価数転移の圧力依存性の効果も明らかにし、CeRhIn_5の圧力下での非フェルミ液体挙動も、Ceの価数ゆらぎの観点から自然に理解できることを指摘した。また、常圧下で価数転移の量子臨界点近傍に位置しているYb化合物は、圧力に鈍感であり、非フェルミ液体の領域があたかも「相」のように見えることを示した。この結果は、最近のβ-YbAlB_4の実験結果をよく説明することを指摘した。
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Research Products
(9 results)