2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 直毅 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (30436539)
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Keywords | 強相関電子系 / 非線形光学 / 軌道秩序 |
Research Abstract |
本研究の目的は,強相関電子系に属する遷移金属酸化物を対象として,bulk同様の電荷軌道秩序相転移を示す極薄膜,またそのヘテロ接合を原子層レベルの制御の下で作製し,薄膜中やその界面近傍のみで発現する新規電子物性とそのダイナミクスを非線形光学手法によって検出することにある. 昨年度,異なる電荷軌道(スピン)秩序相を示すNd_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3,Pr_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3の極薄膜またその単一界面試料を作製し,SHGを用いることにより一般に反転対称である軌道秩序下においても空間反転対称性の破れを示す信号を得た.本年度はこのうちPr_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3に注目し,3.2-25nm厚の薄膜をLSAT(110)基板上に作製し,磁気伝導特性とSHG偏光解析を用いて薄膜試料における軌道秩序の臨界膜厚を確認した(約4nm).SHGの膜厚依存性からは表面信号成分の切り分けが可能となった.また相転移温度近傍での外部磁場依存性を調べ,単一原子層レベルの感度を持つSHGがマクロな測定手法である磁化,電気抵抗などとも整合した情報を与えることを確認した.加えて任意の複素線形・非線形感受率を持つ多層膜に対する解析プログラムを作成し解析に援用した.また高真空チャンバ内にSH顕微鏡を構築し,1μm程度の空間分解能のもと転移温度近傍における軌道秩序ドメインの成長を観測し,外部磁場と光照射によるその変調に成功した.そのドメインサイズはNd_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3などで見られるナノスケール相分離系より一桁以上大きく,従来の超巨大磁気抵抗効果とは異なる金属絶縁体転移機構を示している.
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Research Products
(6 results)