2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740248
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 武則 The University of Tokyo, 低温センター, 助教 (80361666)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / ネルンスト効果 / 電荷秩序 / ストライプ秩序 / 量子臨界点 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ネルンスト効果による電荷秩序の観測方法を確立し、高温超伝導体におけるネルンスト効果の増大の原因を調べることである。 本年度は、研究実施計画に書いたとおり、ランタン系高温超伝導体にネオジウムをドープし、ストライプ秩序の強さを様々に変化させた一連のサンプルのネルンスト効果を測定した。 実施計画の予想に反し、ストライプ秩序を変化させても、ネルンスト効果が増大し始める温度(ストライプの揺らぎが発達し始める温度と考えられる)は変化しないという結果が得られた。また、超伝導揺らぎが起きる温度(ネルンスト効果が磁場依存性を示し始める温度)も変化しなかった。 これまでに報告されているようにネオジウムをドープする電荷秩序の転移温度は増加し、超伝導の転移温度は減少する。そこで、揺らぎの出来始める温度はキャリア濃度のみによって決まっていて、ネオジウムドープによる不純物効果によって、超伝導の領域が減少し、超伝導のパスが繋がる温度(転移温度)は減少すると考えられる。一方、ストライプ秩序は、ネオジウム不純物によっでピン留めされるために、ネオジウムドープとともに電荷秩序の転移温度が増加すると考えられる。 これらの結果は、高温超伝導体においては本質的不均一が重要であることを示唆し、その発現機構を理解する上で重要な発見である。
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Research Products
(3 results)