2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740266
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡辺 忠孝 Nihon University, 理工学部, 講師 (70409051)
|
Keywords | エキゾチック超伝導 / 超伝導ギャップ対称性 / 不純物効果 / 超音波 / Lu2Fe3Si5 / DyNi2B2C / TmNi2B2C / La3Ni2B2N3 |
Research Abstract |
本研究課題は、鉄族元素を含有する金属間化合物における超伝導ギャップ対称性の研究、新奇な量子化磁束状態の研究、および新エキゾチック超伝導体の探索を行うものである。平成21年度の研究実績は以下の通りである。 超伝導ギャップ対称性の研究は、鉄珪化物Lu_2Fe_3Si_5とホウ炭化物DyNi_2B_2Cについて行った。Lu_2Fe_3Si_5はFeを含みながらT_c=6Kという高い超伝導転移温度を示し、最近の研究からマルチギャップ超伝導の可能性が指摘されている。本研究ではLu_2Fe_3Si_5の超伝導への不純物効果を研究し、異方的超伝導を示唆する知見を得た。またLu_2Fe_3Si_5の極低温熱伝導率測定を行い、マルチギャップ超伝導を示唆する結果を得た。DyNi_2B_2Cは反強磁性秩序下で超伝導転移する(T_c=6K、T_N=11K)非常に珍しい物質で、反強磁性が誘起する異方的超伝導の発現が期待される。本研究ではDyNi_2B_2Cの超伝導への不純物効果を研究し、異方的超伝導を示唆する知見を得た。 量子化磁束状態の研究は、ホウ炭化物TmNi_2B_2Cについて行った。TmNi_2B_2Cは、低温で常磁性と超伝導が共存/競合する物質で、常磁性効果による新奇な量子化磁束状態の形成が期待される。本研究では、TmNi_2B_2Cについて磁場中超音波音速測定を行い、量子化磁束の磁束弾性特性を調べた。その結果、常磁性効果と思われる特異な磁束弾性の増強を観測した。 新エキゾチック超伝導体の探索はホウ窒化物La_3Ni_2B_2N_3について行った。La_3Ni_2B_2N_3はT_c=12Kの超伝導体として1994年に発見されたが、これまで詳細な物性研究は行われていなかった。本研究では、物性研究の第1歩としてLa_3Ni_2B_2N_3の試料合成法の確立を試みた。その結果、T_c=18Kという高い超伝導転移温度を示すLa_3Ni_2B_2N_3試料の合成に成功した。
|
Research Products
(14 results)