2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレーションを持つ光格子中のボース原子気体の新奇量子相の解明
Project/Area Number |
21740267
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
笠松 健一 近畿大学, 理工学部, 講師 (70413763)
|
Keywords | ボースアインシュタン凝縮 / 超流動 / 冷却原子 / 量子渦 / 光格子 |
Research Abstract |
冷却原子気体系においてフラストレーションによりもたらされる新たな量子相の発見とその動的な現象に関して研究を進めているが、本年度は以下の内容を明らかにした。 1,昨年度に引き続き2成分BECでドメインウォールと渦が結合した複合ソリトンの構造を調べた。この複合ソリトンは弦理論で「D-brane」として知られる物体に相当し,実験室で実現するD-braneを提唱した。これにより原子気体と弦理論を結びつける新たな研究の方向性を提唱する事ができた。現在この研究をさらに発展させており,ブレインと反ブレインの衝突は場の理論におけるタキオン凝縮として理解されることを原子気体の系で展開している。 2,相分離した2成分BECの剪断流に対する安定性を調べた。これは古典流体ではKelvin-Helmholtz不安定性として知られる現象と類似のものであるが,BECは粘性をもたない超流動性と渦の循環が量子化されるという特有の性質を持ち,新たな流体現象が期待できる。今年度は異成分間の相互作用の制御により層流と専断流のクロスオーバーが起こることを明らかにした。 3,有効磁場中の光格子ポテンシャルに閉じ込められたハードコアボソンの基底状態の相図をCP1模型のモンテカルロシミュレーションにより調べた。この模型は各サイトの粒子数の揺らぎを取り入れることができ,以前から解析されているフラストレーションをもつXY模型をより現実的に近づけた模型といえる。今年度は有限温度における相図の磁場強度依存性を調べた。
|