2011 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いたネプツニウム化合物超伝導体における特異な超伝導混合状態の研究
Project/Area Number |
21740273
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中堂 博之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 任期付研究員 (30455282)
|
Keywords | 超伝導混合状態 / 核磁気共鳴 / ネプツニウム化合物 |
Research Abstract |
本研究の対象物質であるNpPd_5Al_2はT_c=5Kの重い電子系超伝導体である。この新しい超伝導体では、強いパウリ常磁性効果を起源とする特異な超伝導混合状態(例:FFLO状態)の可能性が示唆されている。本研究の目的は、NpPd_5Al_2において核磁気共鳴測定法により上部臨界磁場(H_<c2>)付近で生じている超伝導一次転移に伴う特異な超伝導混合状態を同定し、H_<c2>近傍の混合状態のHvsT相図を明らかにすることを目的としている。 本物質における超伝導HvsT相図を明らかにするためには、磁化、比熱の温度、磁場依存性等、多面的に検証する必要があると思われる。^<27>Al NMR測定においてはナイトシフトや1/T_1の測定を温度と磁場をパラメータとして詳細に行う必要があると考えられる。常伝導状態においてナイトシフトの磁場依存性がない一方で、核スピン格子緩和時間(T_1)の温度依存性と磁場依存性を測定したところ、低磁場で1/T_1が急激に増大し、また低温ほど1/T_1の増大が顕著であることがわかった。この振る舞いはNpO_2やPr化合物において報告されている磁性イオンサイトとリガンドサイト間の交差緩和による振る舞いと類似している。1/T_1の磁場、温度依存性を解析したところ、^<27>Alと^<237>Np間の交差緩和でこの振る舞いをうまく説明することができ、低温低磁場では^<27>AlのT_1の機構には^<237>Np核スピン揺らぎのz成分が大きく寄与していることを解明した。また、本研究より237NpのT、は1Kにおいて2us程度と見積もることができた。本研究成果はPhys. Rev. B 84, 094402 (2011).に掲載されている。
|
Research Products
(2 results)