2011 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列繰り込み群法の拡張による2次元量子多体系の解析
Project/Area Number |
21740277
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
引原 俊哉 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00373358)
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Keywords | 密度行列繰り込み群法 / 量子スピン系 / 強相関電子系 / フラストレーション |
Research Abstract |
低次元量子スピン系・フェルミオン系の低エネルギー状態の特性についての研究を行い、特に、量子多体系の数値計算において、計算の精度、効率を支配する重要な因子であるエンタングルメント・エントロピーの振舞いについて調べた。我々はこれまでの研究により、一次元量子臨界系(基底状態上にエネルギーギャップのない系)に対して、モデルハミルトニアンに含まれる各種ホッピング・相互作用パラメーターを正弦関数の二乗で表される関数に従って空間変調させることで、エンタングルメント・エントロピーの振舞いを含む基底状態波動関数の特性を劇的に変化させることができることを明らかにしている。我々は本年度の研究において、このサイン二乗関数を用いたエネルギースケール空間変調が機能するメカニズムを明らかにし、このエネルギースケール変調が、一次元系に限らず、二次元以上の量子臨界系においても、基底状態特性の劇的な変化を実現することを確かめた。この結果は、フラストレーションを持たない単純正方格子系のみならず、二次元異方的三角格子系や対角ホッピングを持つJ1-J2模型などのフラストレート系にも適用されるため、格子形状によらず一般の量子臨界系に対してエネルギースケール変調によるエンタングルメント制御が可能であることを示している。この発見は、低次元強相関電子系・量子スピン系の研究に有効な数値解析スキームの開発に、エネルギースケール変調の利用という新たな視点を加えるものとして意義深い結果と言える。 また、二次元異方的三角格子系の準一次元対応系であるジグザグ梯子量子スピン系に対して密度行列繰り込み群法と場の理論的手法を用いた解析を行った。この系で実現される新奇量子相であるスピン多極子相における様々な観測可能量の低温特性を明らかにした。
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