2009 Fiscal Year Annual Research Report
確率的レーブナー方程式および共形場理論を用いた2次元臨界確率過程の研究
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21740285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堺 和光 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (10397028)
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Keywords | 確率的レーブナー方程式 / SLE / 確率過程 / 共形場理論 / 可積分系 / 厳密解 / ベーテ仮設 |
Research Abstract |
今年度は、以下のような研究を遂行した。 (1)確率的レーブナー方程式とWess-Zumino-Witten模型との関連 確率的レーブナー方程式(SLE)とWess-Zumino-Witten(WZW)模型との関係を研究した。これまでのところ、SLEと共形場理論(CFT)との対応に関しては、ミニマル模型との対応が主として研究されていた。我々は最近の関連研究の進展に触発され、SLEと任意のリー代数の対称性を持つWZW模型との対応の研究を行った。この研究は現在も継続中である。 (2)多成分非対称単純排他過程のスペクトル 確率過程のマスター方程式を、シュレーディンガー方程式とみなせば、そのマルコフ行列は量子系のハミルトニアンとみなすことができる。これにより、1次元多粒子確率過程模型は、ある種の1次元量子スピン系とみなすことができる。最近我々は、これまでの研究で培われた厳密解の手法を適用することにより、非対称単純排他過程と呼ばれる模型の動的特性を解析した。特に、系を構成する粒子の種類が複数ある多成分系に対する一般論を構築することに成功し、系のダイナミクスを詳細に解析することにより、この系がKardar-Parisi-Zhang(KPZ)型のユニバーサリティクラスに属することをはじめて明らかにした。さらに、マルコフ行列の構造を詳細に調べ、その複素スペクトルはposet構造を持ち双対性を明らかにした。 (3)1次元スピンレスフェルミオン模型の動的性質 1次元スピンレスフェルミオン模型の相関関数の研究に基づき、この系の動的性質を研究し、そのスペクトル関数を厳密に計算した。特に高エネルギー領域におけるストリング解(束縛状態)の本質的な寄与を明らかにした。 (4)フェルミ冷却原子気体の厳密解析 光学格子にトラップされた原子気体の最近の理論・実験研究の進展に触発され、1次元フェルミ原子気体の研究を行った。特に引力相互作用を持つ分極したフェルミ原子気体の場合、基底状態はFFLO状態となっていることが期待される。我々は、共形場理論とベーテ仮説の方法により、相関関数の漸近的振る舞いを厳密に計算した。
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Research Products
(4 results)