2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジャミング・ガラス転移における協同運動と非線形レオロジーの解析
Project/Area Number |
21740286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
波多野 恭弘 東京大学, 地震研究所, 特任助教 (20360414)
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Keywords | ジャミング転移 / 粉体 / レオロジー |
Research Abstract |
粉体などのマクロ粒子系は静止している状態から突如として流動を始めることがしばしばある。このようなドラスティックな変化は相転移を思い起こさせるが、粉体粒子はマクロな存在であって熱力学には従わないゆえに、平衡熱力学的な相転移とは異なる数理が現象を支配していることが予想される。このようなマクロ構成要素の示す相転移的挙動はジャミング転移と呼ばれ、その特異な集団的挙動に注目が集まっている。とくに擬二次元的状況では様々な実験やシミュレーションがなされ、粒子の協同的集団運動の発達が明らかになってきている。いずれの研究でも、相関距離や緩和時間がジャミング転移点にむけて発散していくことから、何らかの中立安定モードが支配する臨界現象類似の相転移であることが明らかになってきている。我々はこれらの先行研究を念頭においたうえで、三次元粒子系で系統的なシミュレーションを実行し、協同運動の三次元的特性を解明することを目指した。まず、流体的相における応力緩和過程のシミュレーションを行い、相関距離の発散を記述する指数が2次元と共通であることを発見した。他方、緩和時間の発散を記述する指数は2次元と3次元では異なることも発見した。とくに3次元での動的臨界指数が、過冷却液体の協同運動のものときわめて近いことを発見した。次に、本研究者自身によって確かめられた定常状態レオロジーを支配する臨界現象的スケーリング則のより系統的なシミュレーションを行い、スケーリング指数をより高精度に求めた。これらの指数に関する結果はあくまで数値的な評価にとどまるものだが、来るべき3次元粒子系の理論を検証するためのデータベースとして役立つことが期待される。
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Research Products
(5 results)