2009 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピック量子輸送系における平均流と揺らぎの統計力学的研究
Project/Area Number |
21740288
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 圭司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (90312983)
|
Keywords | 非平衡熱力学 / 熱伝導 / 電気伝導 |
Research Abstract |
メゾスコピックスケールにおける、量子輸送現象のカレント揺らぎなどを研究した。以前理論的に量子熱輸送や電子輸送現象を考察し、任意の次数のカレント揺らぎを生成する生成汎関数に対して一般的な対称性を導出した。それを用いることで、輸送係数間に普遍的な関係式を導くことができる。この形式的な理論が、実際の実験でどう見えるかを、理論的にアハロノフ-ボーム干渉計のセットアップで実演して見せた。また、実験家と協力して、非線形輸送関係式の検証実験も行った。その結果、磁場に関して対称成分と反対称成分の関係式は、定性的には理論と整合する結果を得た。しかし定量的には対称成分の関係式は理論と食い違う結果を得た。 また、メゾスコピックスケールの分子を電流で冷却するメカニズムも提唱した。 カーボンナノチューブに代表されるように、低次元系では熱伝導現象は、フーリエの法則が成立しない異常輸送現象を示す。どのようなメカニズムでフーリエの法則が成立するかという問題は、非平衡統計力学における最も重要な課題の一つである。その一つとして次元の重要性がこれまで指摘されてきた。次元の重要性を示すために、大規模な数値計算を行い、熱伝導現象の次元クロスオーバー現象を考えた。その結果2次元系では、熱流は発散を示すが3次元系では、フーリエの法則が成立する兆候が見えた。 最近グラフェーンシートを用いた熱伝導現象の次元クロスオーバー現象が実験でも 確認され、我々の数値計算と整合した実験結果が報告されている。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
[Journal Article] Nonequilibrium Fluctuation Relation in Quantum Conductors2010
Author(s)
S.Nakamura, Y.Yamauchi, M.Hashisaka, K.Chida, K.Kobayashi, T.Ono, R.Leturcq, K.Ensslin, Keiji Saito, Y.Utsumi, A.C.Gossard
-
Journal Title
Phys.Rev.Lett. 104
Pages: 115427-115430
Peer Reviewed
-
-
-
-