2009 Fiscal Year Annual Research Report
多粒子系における系の界面運動と粒子の集団運動との競合
Project/Area Number |
21740293
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 義弘 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (10349227)
|
Keywords | 統計物理学 / 非平衡・非線形物理学 / 数理モデル |
Research Abstract |
[具体的内容] 粉粒体と流体の混合系で、粒子の集団運動と系の境界面の運動との相互作用によって引き起こされる動力学現象の実験を行い、現象を再現する数理モデルの計算機シミュレーションを行った。実験は、本研究室の大学院生である小村真也氏と共に実施した。具体的には、水と粉粒体(コーンスターチ・酸化アルミニウム・ガラスビーズなど)との混合物を2枚の板(アクリル板・ガラス板など)にはさんだ状態で乾燥させた。このとき水の蒸発により、2枚の板のすき間に空気が進入し、水と空気との境界面(界面)の運動が引き起こされる。このとき、界面運動によって水中に存在する粉粒体は掃き寄せられ、集められた粉粒体の領域が迷路状のパターンを自発的に形成する。今回、迷路状パターンを特徴付ける量として、フラクタル次元に注目し、パターンの形成過程におけるフラクタル次元を求めたところ、約1.8程度となり、最終的なパターンの次元2と異なる値を得た。この実験結果は、計算機シミュレーションの結果と一致している。 [意義] このパターン形成では、パターンのフラクタル次元が成長中と成長後で異なる事が明らかとなった。つまり、成長のダイナミクスがパターンのフラクタル次元に関係していると考えられる。また、得られた結果をより一般的な視点から考えると、2相系(さらには、多相系)において、ある相領域に存在する粒子が集団として相界面の運動にどのような影響を及ぼすかという一般的な問題としてみることができる。 [重要性] 離散的な粒子の集団運動と界面運動の競合は、反応拡散系や界面ダイナミクスといった応用数理の分野に新たな視点がもたらされると期待している。また、パターン形成の画像解析から、その形成メカニズムに関わる物性を探索するというアプローチは、工学の観点からも重要である。
|