2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740294
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
湯浅 一哉 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (90339721)
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Keywords | 量子干渉 / 量子観測 / 量子情報 / 量子制御 / 量子推定 / ボース凝縮 / 超伝導 / 対称性の破れ |
Research Abstract |
本研究の目的は,量子論の際立つ特徴の中でも「量子コヒーレンス」と「量子観測」に焦点を当て,両者が本質的に関わり合う興味深い現象を追究することによって量子論の奥深い世界に迫るとともに,それらを利用する独創的なアイデアを創出して量子情報技術に貢献することにある.実施2年度目の今年度は,主に以下のテーマに取り組み,成果を得た. 1.ボース凝縮体などの量子多体系の干渉現象に注目し,「対称性の自発的破れ」に基づく従来の記述に取って代わる理論的枠組みの構築を目指して,「観測による量子コヒーレンス」のアイデアを追究している.その一環として,(1)「観測」が本質的な役割を果たす後者の記述でもやはり「ボース凝縮」が重要であることを明らかにし,論文として発表した.(2)複数の独立なボース凝縮体の列による干渉現象を「観測による量子コヒーレンス」のアイデアに基づいて解析し,その成果を論文として発表した.(3)超伝導状態における対称性の自発的破れ(超伝導状態の位相)を干渉現象を通じて直接とらえる方法を見出し,論文として発表した. 2.観測がその対象を乱してしまう効果をうまく利用することによって量子系を制御しようという「観測による量子系制御」のアイデアを追究している.今年度,(1)系の一部に観測を繰り返すことで量子系の状態が純化される機構について,それが連続スペクトルの系でも起こりうることを明らかにし,論文として発表した.(2)繰り返し観測によって非自明な量子状態を生成する方法を,確率1で機能する枠組みへと改良することを試みているが,2つ目の具体例を構成することに成功し,国際会議,国内学会にて発表した. 3.「量子パラメータ推定」の問題に取り組んだ.従来の標準的な方法とは異なって,状態の初期化や多数回試行を必要としない独自の方法を提示することに成功し,国内学会にて発表した.
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Research Products
(13 results)