2009 Fiscal Year Annual Research Report
希土類ドープナノファイバーを用いた量子光学デバイスの開発
Project/Area Number |
21740297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 豊 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (00345076)
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Keywords | 量子エレクトロニクス / 量子光学 / 光物性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)希土類ドープファイバーを加熱・伸延し、直径が光の波長と同程度の希土類ドープナノファイバーを開発すること、(2)ナノファイバーをリング状に丸めて微小なリング共振器に加工すること、(3)ナノファイバー中の単一ドープイオンと共振器モードとの量子的相互作用を研究すること、の3点に集約される。 平成21年度は主に(1)の希土類ドープナノファイバーの作製に重点を置く予定であったが、ドープファイバー内の不純物の影響で加熱・伸延がうまくいかず、現時点ではナノファイバーの完成には至っていない。不純物はドープファイバーの作成工程の変更で取り除ける可能性があり、現在ファイバーメーカーと打ち合わせを行っている。一方で、通常の(希土類のドープがない)シングルモードファイバーを用いたナノファイバーではリング共振器の作成に成功している。加熱・伸延直後のナノファイバーをたるませ、軽く捻ることで直径数ミリ程度のナノファイバーリングが完成する。その際、自身のファンデルワールスカによってリングの結合部分が自着し、機械的、構造的に安定することも確認された。リング共振器のFSR(フリースペクトラルレンジ)は約300GHz、Q値は20000程度であった。これは今後行う予定の(3)の実験を行う上で、(ドープイオンが存在しないという点を除いて)十分なスペックを持っている。今後、伸延が可能なドープファイバーが作製できれば、それ以降は速やかに研究が遂行できると期待される。
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