2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740313
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 真理子 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (50521738)
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Keywords | テラヘルツ / タンパク質 / 水和 |
Research Abstract |
水はタンパク質の構造を安定化するだけでなくダイナミクスにも重要な役割を果たしている。そのため、タンパク質の機能発現機構を理解するためには、水のゆらぎを理解することが重要である。水のゆらぎは、タンパク質のトポロジーや隣接する側鎖の疎水・親水性等、周囲の環境に影響を受けると考えられるため、異なる環境にある水のゆらぎを個別に調べる必要がある。そこで、タンパク質が存在することで生じる環境の変化によって水のゆらぎがどのように変化するのかを明らかにすることを目的として、本研究を実施した。タンパク質周辺の水の、10^<-12>秒オーダーのゆらぎを観測するため、テラヘルツ時間領域分光法を用いた。サンプルには、水和水のモデル系として表面を修飾したビーズと、タンパク質水溶液を用いた。本年度は、テラヘルツ時間領域分光法の構築とタンパク質の精製を行った。テラヘルツ電磁波発生にはInAs(111)、検出にはZnTe(110)、ポンプ及びプローブ光にはTiサファイアフェムト秒レーザーを用いた。得られた信号は、フェムト秒レーザーの繰り返し周波数に同期させてロックイン検出した。またサンプルホルダの設計、分光測定のためのプログラムの作成を行った。タンパク質水溶液の分光測定を行うために、水溶性タンパク質であるスタフィロコッカルヌクレアーゼを精製した。構造変化による水和水の変化を調べるために、野生型の他に生理条件下で天然構造をとらない変異体を作製した。両者の構造を円偏光二色性分光法で確認した。
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