2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740315
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
吉武 裕美子 Tokyo Denki University, 理工学部, 助教 (80453794)
|
Keywords | 化学物理 / 物性実験 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
ハイドロゲルはミクロには液体、マクロには固体という両性的なソフトマターである。この表面には、原理的には液体特有の表面張力波と固体的な弾性表面波の両方が伝搬可能である。ところが両者は分散関係が異なる他、表面の粒子振動変位が反対回りをしており、全く相容れない違いがある。本研究では両者の混在する中間領域において、どのような表面波が伝搬し得るかを実験的に解明し、ゲル表面の分散関係を明らかにすることを目的としている。 平成21年度には、ゲル表面波の位相方向を明らかにする装置の作成、およびその性能評価を行った。ゲル表面波は周波数により弾性表面波から表面張力波へと遷移する。2種類の波とそれらの中間領域の波を観察するためには、周波数にして10^2~10^5Hzという広範囲に渡る周波数の表面波を観察する装置が必要である。 ここでは安価かつ高精度で十分な時間分解能を得るために、H.Kutsuna and K.Sakaiによって確立されたμmサイズの液滴の運動を観察する手法を応用した装置を開発した。この手法で観測できる現象は安定した繰り返し現象の観察のみに限られるが、数mm以下の振幅のゲル表面波もまた非常に安定して伝搬をするので、H.Kutsunaらの採用した原理を応用すれば広範囲な周波数の表面波の観察が可能である。本測定装置では、ゲル表面波の濃度依存性や、振動の中心からの距離依存性などの観察ができることを確認した。
|