2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740315
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
吉武 裕美子 東京電機大学, 理工学部, 助教 (80453794)
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Keywords | 化学物理 / 物性実験 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
ハイドロゲルはミクロには液体、マクロには固体という両性的なソフトマターである。この表面には、原理的には液体特有の表面張力波と固体的な弾性表面波の両方が伝搬可能である。ところが両者は分散関係が異なる他、表面粒子の振動変位が逆位相となっており、全く相いれない性質をもっている。本研究では、両者の混在する中間領域において、どのような表面波が伝搬し得るかを実験的に解明し、ゲル表面の分散関係を明らかにすることを目的としている。 平成22年度には、平成21年度に作成したゲル表面波の位相方向を観察する装置を用いて、表面波の挙動を詳細に調べた。濃度を0.2wt%~2.0wt%と広範囲に変えたアガロースゲルの表面においてこれを観察したところ、濃度の低い表面張力波モードにあるアガロースゲル表面では、純粋な液体表面と同様の挙動が観察され、逆に濃度が高く弾性率の大きいアガロースゲルでは、純粋な固体表面と同様の動きをとらえることに成功した。これは、ゲル表面の表面波は、分散関係だけでなく粒子の回転位相までもが純粋な液体、および固体と同様であることを示している。 さらに両者の混在する中間領域では、表面波の粒子変位が表面張力波と弾性表面波を足し合わせたような振動変位となることが確認できた。これより、ゲル中間領域では、現在ゲル表面波の分散関係の理論として多用されているHPP理論が成立しないことが分かった。
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Research Products
(4 results)