Research Abstract |
本年度は,「火山噴火現象に関する総合的なデータベース構築」において,データベース連動型のWebアプリケーション開発に適している「LAMP」のシステムを使用して,多岐にわたる噴火パラメータに関する系統的なデータベースの開発を行った.これによって,Web上において閲覧が可能な汎用性の高いデータベースを構築することができた.このデータベースは,2011年1月に始まった霧島山新燃岳噴火においても活用され,例えばこの噴火の推移過程において推定されたマグマ噴出率と,データベースに収集されている他火山の噴火事例における噴出率との系統的な比較を行うことによって,今回の霧島山噴火における噴火推移の特徴を明らかにすることができた. さらに本年度は,防災科学技術研究所において火山災害の軽減を目的として行っている溶岩流の数値シミュレーションに関するデータベースの構築にも取り組んだ.具体的には,桜島,伊豆大島,三宅島,富士山における過去の代表的な溶岩流出噴火事例に関して,シミュレーションにおいて火口からのマグマの流出条件として必要なマグマ粘性・温度,噴出率をデータベース化した.これによって,より現実的な噴火条件を基にした溶岩流シミュレーションが可能となった. 一方,「火道流数値モデルの開発と解析」においては,噴火の推移に伴う火道内のマグマ上昇過程の時系列的な変動を再現できる,時間発展を考慮した火道流モデルの開発と解析に取り組んだ.その結果,非爆発的噴火から爆発的噴火へ推移していく過程において,マグマ噴出率や火道内における発泡度や過剰圧がどのように変動していくのかを明らかにすることができた.これらの変動は地質学的・地球物理学的な多項目観測によって捉えることができるため,それらの観測データと火道流モデルの解析結果との比較によって,噴火の推移過程のメカニズムを実証的に明らかにできる可能性がある.
|