2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740323
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 希 The University of Tokyo, 地震研究所, 助教 (90313048)
|
Keywords | 地球内部構造 / トモグラフィー / グローバル地震 / 下部マントル / マントル対流 / Direct Solution Method |
Research Abstract |
本研究の目的は、高精度かつ高解像度のトモグラフィーモデルから、全地球の化学組成構造及び温度構造を制約することである。応募者の世界最先端のトモグラフィー手法を活用し、地球内部構造に関するほぼすべての地震学的パラメータを同時推定する。特に内部不連続面の性質(シャープネス・コントラスト)も未知パラメータとして推定することにより、化学組成構造に対する新たな情報源を作り出すことに主たる目的とする。本年度の成果を以下に列挙する。第一に、本研究目的の実現のための第一歩として、全マントルのS波構造を推定した。これまで存在の有無が議論されていた、トンガ・サモア地域の下の全マントルにわたる筒状の低速度異常の存在の確からしさを示した(Takeuchi 2009, GRL)。これにより本研究計画を通じて明らかにすべき対象が明確に特定された。第二に、これまでの内部構造推定研究を特に理論波形計算手法に焦点をあててレビューし、今後の課題を洗い出した(竹内2009,地震2)。これにより、今後の本研究計画の進め方に関する指針を得た。第3に、本研究計画により求められたトモグラフィーモデルを用い、現在南極に建設中の大型ニュートリノ検出器を用いてラジオグラフィーを実施した場合に期待される成果を見積もった(Takeuchi 2010, EPS)。本研究計画にラジオグラフィーデータを取り入れるべきかどうかを検討した結果、当面は取り入れずに進めるべきであるという結論を得た。以上の成果により、今後はマントル対流上昇流の詳細な描像の解明を目的とし、必要な理論波形計算手法を開発しながら、当初の研究計画通りの研究を実施すべきという結論を得た。
|