2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21740323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 希 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90313048)
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Keywords | 地球内部構造 / トモグラフィー / グローバル地震 / 下部マントル / マントル対流 / Direct Solution Method |
Research Abstract |
本研究の目的は、高精度かつ高解像度のトモグラフィーモデルから、全地球の化学組成構造及び温度構造を制約することである。代表者の世界最先端のトモグラフィー手法を活用し、地球内部構造に関するほぼすべての地震学的パラメータを同時推定する。特に内部不連続面の性質(シャープネス・コントラスト)も未知パラメータとして推定することにより、化学組成構造に対する新たな情報源を作り出すことに主たる目的とする。本年度は、最終的な全地球姿モデル推定の第一段階とし、全地球のS波速度構造の詳細な推定を実施した。従来の研究と比べて約3.5倍のサイズを持つデータセットを解析し、解像度の改善を実現した。その結果、これまで解像度が乏しかった、太平洋下の低速度異常域の微細構造が検出された。この低速度異常域は、従来は長波長のぼんやりとした像しか得られていなかったが、本研究により、シート状をなす低速度異常域がクラスター状になっていることが明確になった。またこれらシート状の異常がある領域と、D"不連続面の凸凹の分布に強い相関があることが明確になった。この結果は、低速度異常が温度不均質だけでなく、化学不均質により生じていることを強く示唆する。また、マントル対流上昇流は強い浮力によって生じていることを示唆するとともに、化学的不均質と温度不均質の何らかの相互作用を通じ、特別な形状を保っていることを示唆する。以上の成果により、今後はこれらの特徴を意識しつつ、必要な理論波形計算手法を開発しながら、当初の研究計画通りの研究を実施すべきという結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画通りに成果があがっているので.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに研究を遂行する.
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