2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
並木 敦子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (20450653)
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Keywords | 噴火 / 火山 / 脱ガス / 減圧 / せん断 / キャピラリー数 / 気泡 |
Research Abstract |
噴火様式を大きく爆発的・非爆発的に分ければ、爆発的噴火が起こるか否かを決めるのは気泡の有無である。マグマ中の気泡は、マグマの地表付近への上昇に伴い溶けきれなくなった火山ガスによって生成される。同じ組成のマグマが多様な噴火をする事を考えると、火道内で気泡中のガスがマグマから分離(脱ガス)する事があり、その分離の仕方が火山の噴火様式を決めていると考えられる。マグマ中の気泡同士が連結し、この間を火山ガスが通る浸透流によって脱ガスが起きる、とこれまで考えられてきた(e.g., Eichelberger, 1986)。しかし、気泡同士が連結した構造は表面張力の効果の為に不安定であり、従来の定常的な浸透流モデルが物理的に可能であるとは考えにくい。 よって本研究ではマグマの上昇に伴う減圧と火道壁で起きるせん断変形が如何にして非定常な気泡の連結構造を作り、脱ガスに貢献するのかを実験により定量的に見積もった。減圧実験では気泡同士の連結が一ヶ所で発生すると、連結が周囲に伝播し、最終的に地表に到達する現象が観察された。この現象では脱ガスは断続的になる。また、頻繁に気泡同士の合体が起こる事から気泡は効率的に粗大化する。その結果、断続的な脱ガスの時間空間平均から計算される浸透率は10^<-10>~10^<-7>m^2となり、これまで固化したマグマで計測されていた値より大きくなった。火道壁でおこるせん断変形を模擬した実験では、せん断変形が脱ガスを起こす条件を歪(γ)と粘性応力と表面張力の比を示すキャピラリー数(Ca)の関数として記述した。また、脱ガスが起きる領域の成長率も両者の関数で記述される事を示した。どちらの実験でも連結した気泡は短時間で粗大化し、大規模な空隙を作る事が分かった。これは従来の浸透流モデルとは大きく異なる脱ガスの様式である。また、これらの実験の素過程を理解する為に、1つの気泡の割れ方の研究も行った(Kobayashi, et al., 2010)。
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Research Products
(3 results)