2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁気岩石学的手法による磁性鉱物の結晶化と火山噴火プロセスの研究
Project/Area Number |
21740327
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
齋藤 武士 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (80402767)
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Keywords | 磁気岩石学 / 神津島 / 伊豆大島 / マグマ / 火砕成噴火 / 流紋岩噴火 / 磁性鉱物 |
Research Abstract |
磁気岩石学的手法を用いて火山噴出物を精密に解析することで、マグマの誕生から噴火までの詳細なプロセスを明らかにするための研究手法の開発を行い、また具体的な火山噴出物での解析を行った。試行錯誤の結果、微小試料を定方位で試料ホルダーに装填する簡便な方法を確立した。これにより、試料整形が困難な試料や、微小な試料、微小な領域の磁性を、既設の機器で測定することが可能になった。整形が困難な黒曜石試料や著しく発泡したスコリアの測定を行い、重要なデータを得ることができるようになった。また本年度は、伊豆諸島神津島を対象に、流紋岩マグマの冷却・結晶化プロセスを解明する研究をスタートさせた。微小な黒曜石試料の磁気測定を行った結果、流紋岩質部分とは全く異なるシグナルを示すことが分かった。しかし内部から表面部分への単純な冷却過程では説明できず、流理の発達や脱ガスに伴う発泡作用によって結晶化が大きく規制されていることが示唆された。さらに伊豆半島のカワゴ平流紋岩や、長野県和田峠流紋岩との比較を行うべく、現地調査・試料採取も行った。今後解析を行うことで、流紋岩噴火の一般性と地域性に関して検討を加えていきたい。また昨年度から取り組んでいる伊豆大島火砕成溶岩の研究発表を国内、国際学会で行い、様々の研究者との意見交換を行った。その結果、FeTi酸化物の噴火条件下での再平衡反応実験の重要性を認識し、現在その準備を進めている。さらに2011年1月末に始まった九州霧島火山新燃岳噴火の視察と噴火試料の採取を急遽行い、マグマ温度を推定する研究にも着手した。
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Research Products
(2 results)