2010 Fiscal Year Annual Research Report
地震時のコサイスミック化学反応で消費されるエネルギーの定量的見積もり
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21740329
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣野 哲朗 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70371713)
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Keywords | 地震 / 摩擦発熱 / 反応速度論 |
Research Abstract |
本研究では地震時の断層滑りによる摩擦発熱で瞬間的に引き起こされる化学反応(コサイスミック化学反応)に着目し、その反応で消費される熱(エネルギー)の定量的見積もりを目的としている.具体的には,まず実際の地震断層(房総半島新第三系の付加地質体に発達する断層,および四国四万十帯,久礼メランジュに発達する逆断層)におけるコサイスミック化学反応の痕跡の検出を多角的な化学分析を通して行い,そして,その反応の速度論的解析と吸熱量の解析を組み合わせることによって,断層物質の比熱容量の温度依存性を考慮しつつ,消費される熱(エネルギー)および断層の温度情報を,数値解析によって定量的に評価した. 特に,今年度は,前年度に求めたイライト(断層を構成する主要鉱物の代表)の比熱容量,熱拡散係数,エンタルピー,脱OH反応の反応速度論パラメータなどの情報をもとに,地震時のおける断層の動的滑り挙動,エネルギー出入りに関する数値解析を実施した.その結果,地震時の摩擦発熱による高温環境下では,イライトの脱OH反応の進行に伴って,大きな吸熱を伴い,また,その反応によって外部に放出される水が断層の動的弱化.thermal pressurizationを大きくアシストしうることを明らかにした.さらに,数値解析における剪断帯の厚さや摩擦係数の設定値が解析結果に与える影響を定量的に評価した. これらの結果は,巨大地震発生時における断層の滑り挙動(例えばプレート沈み込み境界断層)の理解に繋がる重要なものと言える.
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Research Products
(3 results)