2009 Fiscal Year Annual Research Report
地震波観測と第一原理物性モデリングによる地球深部マントルの異方性と不均質性の研究
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21740330
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
臼井 佑介 Ehime University, 地球深部・ダイナミクス研究センター, グローバルCOE研究員 (70435824)
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Keywords | 地震波速度異方性 / 最下部マントル / S波スプリッティング / ポストペロブスカイト / 結晶選択配向 / 数値モデリング |
Research Abstract |
最下部マントルD"層にはV_<sv><V_<SH>型Transverse Isotropy (TI)の地震波速度異方性があることが広く知られているが、その原因は未解決である。ポストペロブスカイト相(PPv)は、単相でのモデリングは行われていたが、他成分を加えた多結晶体としての異方性はまだ調べられていない。また、S波スプリッティングによる異方性の深さ方向の分布やD"層直上の領域について調査している例はない。そこで本研究では、東南極に新たに設置された観測点のデータを使い、南極海の下の最下部マントル全域についてS波スプリッティング解析をするとともに多結晶体の弾性を計算するプログラムを開発し、異方性の数値モデリングを行った。 まず、本研究領域でも同様にV_<SV><V_<SH>型異方性が観測され、その強さは約2.0%であった。また、D"層直上の領域についても異方性の存在が確認された。これは、今まで考えられてきたPPvの結晶選択配向(LPO)だけが、異方性の原因ではないことを示唆している。そこでペロブスカイト(Pv)及びMgOに注目し、(Pv+MgO)及び(PPv+MgO)多結晶体の弾性異方性を解析し、LPOの方向及び度合いを様々変えてモデリングした。尚、第一原理計算によって得られた圧力120GPaの弾性定数を使用し、多結晶体の体積割合は、PPv(Pv):MgO=7:3とした。その結果、PPvの[001]方向が鉛直に向いたTI aggregate (TIA)が、最も少ないLPOの度合いで2%のV_<SV><V_<SH>型異方性を再現できることが分かった。D"層の異方性の主な原因はPPvのLPOである可能性が高い。次に少ないLPOのパターンは、MgOの[100」方向が鉛直に向いたTIAであった。MgOは割合が少ないにもかかわらず、十分に少ないLPOで異方性を再現できることが分かった。MgOはD"層より上にも存在するので、D"層直上の異方性の主原因である可能性が高い。Pvの[100]方向が鉛直に向いたTIAも、異方性の原因である可能性が高いことが分かった。これまでは、PvはV_<SV><V_<SH>型異方性を再現できないことが報告されていたが、本研究によってD"層直上の異方性を説明できる可能性が高まった。
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Research Products
(6 results)