2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740334
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 武史 独立行政法人海洋研究開発機構, 地震津波・防災研究プロジェクト, 技術研究副主任 (40435847)
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Keywords | 地震波シミュレーション / 地震波動 / 波動伝播 / 差分法 / FDM / 地下構造モデル / 海底観測 |
Research Abstract |
前年度に開発した、固体-流体の境界条件を考慮した3次元差分法コード「HOT-FDM」を用いて、固体-流体境界面を有する媒質に対して、数値シミュレーションを行った。境界条件の考慮の有無により,波形計算結果に大きな違いが生じることを示した。特に、傾斜を持つ境界面に対して、境界条件を考慮せずに差分計算を行うと、低周波成分を持つ波が境界面近傍から生じ、顕著な計算誤差となることを示した。この計算誤差は、離散化に伴う誤差とは本質的に異なっており、計算誤差の発生を回避するためには、境界条件を正しく満たすよう、境界面近傍で差分近似精度をあえて低次精度に落として差分式を解く必要性を示した。また、西南日本における表層堆積物、付加体、海洋性地殻、海洋性マントルの構造形状をコンパイルした3次元地下構造モデルを用いて、2009年3月に紀伊半島沖で発生した超低周波地震についてのシミュレーションを行った。シミュレーションの結果、8-50秒の帯域において、超低周波地震による観測波形と概ね一致する波形計算結果を得ることができた。また、変位波形でみると、近地の影響によるオフセットが明瞭に現れ、その極性について観測波形と一致する解を得ることができた。さらに、海域特有の構造が波形に与える影響についてフォワードシミュレーションで調べ、表層堆積物や付加体中の最適なVp/Vs値を推定した。
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