2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740336
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 邦弘 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 博士研究員 (70507178)
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Keywords | 中規模渦 / 熱輸送 / 海洋モデル / 全球 / 海洋物理学 |
Research Abstract |
黒潮・親潮続流域では,海洋中規模渦の盛んな活動が熱や栄養塩の輸送に重要な役割を担っていることが期待される.本研究では,中規模渦による熱輸送の背後にある物理過程を明らかにすることを目的として研究を行っている。これを達成するため,平成21年度は,地球シミュレータで運用されている渦解像海洋モデル(OFES)の出力に基づく渦熱輸送量を算出し,北太平洋における中規模渦による南北方向の熱輸送量を評価した.OFESにおける中規模渦による熱輸送は,西岸境界流域において顕著であり,特に黒潮・親潮続流域において,大きな北向きの輸送域が東西に広がって分布している.この北向きの渦熱輸送は,傾圧不安定理論と整合的で,南北の水温勾配を緩やかにするように働いている.北向きの渦輸送は海面付近で最大で,深さと共に急激に減少する.北向き渦熱輸送が見られなくなる深さは,最大でも水深500mまでで,北に向かって浅くなるサーモクライン深度と対応する.また,黒潮・親潮続流域では,総熱輸送に対する渦輸送の寄与は50%にも達し,渦による熱輸送が支配的であることが明らかとなった.これは,黒潮・親潮続流域の位置する緯度帯においては,平均流は東向きとなるために,平均流では十分な南北輸送ができないことと関係している.このように,黒潮・親潮続流域においては,渦輸送は南北の熱交換にとって不可欠であることが分かった.この結果は,亜寒帯と亜熱帯に濃度のギャップを持つ栄養塩についても,渦が濃度差解消において重要な役割を担っていることを示唆する.
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Research Products
(2 results)