2011 Fiscal Year Annual Research Report
振動数変化を考慮した内部波散乱の理論構築と散乱による鉛直混合の評価
Project/Area Number |
21740338
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 知裕 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (60400008)
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Keywords | 海洋物理 / 内部重力波 / 散乱 / 混合 |
Research Abstract |
回転成層流体中の内部重力波は、地形(下側固体境界)で反射される際に地形の凹凸により波数が変わる「散乱」が生じ、散乱による波数空間でのエネルギー輸送により混合が促進される。研究代表者が導出した準線形支配方程式とその理論解によると、地形の波数(k)が内部波による振動流の行程の逆数(ω/U)に比べて同程度か小さいとき、この散乱の際に振動数が変化する、すなわち従来理論の仮定していた振動数保存が成立しないパラメタ・レンジがある(ωとUは入射波の振動数と流速振幅)。数値実験により、準線形理論の予測通り、比kU/ωに応じて振動数と伝播の特徴が変わり、その結果、散乱が引き起こす混合は地形の波数に依存することが示された。加えて、入射波(と反射波)による流れの場が、散乱波に対して臨界層を形成し、臨界層で散乱波が強い混合を引き起こすことが明らかになった。振動数変化のメカニズムが同じである風下波について、潮流による風下波の生成可能性と可能最大波高を全球で評価し、風下波の砕波による混合過程を数値シミュレーションで調べた。内部波による鉛直混合の影響について、オホーツク海・北太平洋を対象に数値モデル・理論モデルを用いて調べ、オホーツク海における高密度水生成、フロンや鉄(微量栄養物質)の海洋内循環、および夏季下層雲形成に多大な影響を与えうることを示した。
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Research Products
(21 results)