2010 Fiscal Year Annual Research Report
急激な海氷面積減少が起こっている北半球の海氷厚の解明
Project/Area Number |
21740339
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
直木 和弘 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙利用ミッション本部・地球観測研究センター, 宇宙航空プロジェクト研究員 (80463834)
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Keywords | 海氷厚 / 18GHz / 輝度温度 / 海氷観測 / 反射率 / AMSR-E / MODIS |
Research Abstract |
本年度は、昨年度末に実施した海氷観測から得られた海氷の輝度温度の解析を行った。また冬季には再度海氷観測を実施し再現性を観測した。次に衛星搭載型マイクロ波放射計から観測された輝度温度から推定した海氷厚分類結果を光学センサとの比較によって検証した。 本研究では、18GHz帯の輝度温度に注目している。これは、厚さに対する変化量が大きく長期データへの適用が可能であるためである。昨年度末に北海道サロマ湖で実施した海氷観測において、裸氷と比較したとき海氷上に積雪が存在すると海氷の輝度温度が上昇することが観測された。一般的に乾雪の輝度温度は、積雪によってマイクロ波が散乱し輝度温度が減少する。また18GHz帯は波長が長く積雪の影響を受けにくい。しかし観測結果は逆の結果となった。そこで、海氷及び積雪の放射伝達を計算し考察を行った。その結果、積雪の密度が海氷のマイクロ波放射に強い影響を与えることが分かった。このことから海氷の輝度温度から厚さを抽出するためには積雪の有無も重要な情報であることが分かった。また、海氷の厚さに対する18GHz帯の輝度温度特性の観測では、これまで同様に海氷が厚くなるに従い輝度温度が上昇するという観測結果が得られた。特に垂直偏波は約15mmの厚さで239Kという非常に高い値となった。このことから海氷の厚さ推定には水平偏波の輝度温度が有効であるというこれまでの結果を支持する結果が得られた。 AMSR-Eの輝度温度からの厚さ分類は、18GHz水平偏波の輝度温度を用いて行っている。推定結果の検証はMODISの高分解能データを用いて行った。検証のために輝度温度と反射率の比較を行った結果、両者は正の相関関係があった。このことからMODISの反射率から厚さ分類の検証が可能であることが分かった。
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