2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740340
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 幸彦 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (80345058)
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Keywords | 暖水塊 / 中規模渦 / プロファイリングフロート |
Research Abstract |
黒潮暖水塊の物質輸送特性を明らかにするため、既往プロファイリングフロートデータの解析と現場観測を行った。フロートは2003年9月に親潮域に投入されたが、同年10月には暖水塊に取り込まれてその後2004年10月まで暖水塊と共に亜寒帯域を北上した。暖水塊はフロートと共に冷水を取り込んだ時に劇的に低温化・低塩分化したほか、2003年11月から2004年11月までの準定常的な局面でも構造と水塊特性に一定の変化があった。ポテンシャル密度26.6σθより上層は周辺より高温・高塩分で、冬季には300mを超える混合層が発達した一方、春季~夏季には表層が成層して亜表層に密度一様層を形成していた。26.6σθより下層には渦位の低い低温・低塩分水が保持されており、上層とは対照的に観測期間中は海面に露出していなかった。2003年11月から2004年11月までの準定常的な期間、26.6-26.8σθ等密度面は1年間に約50mの割合で浅化していた。これらの等密度面は周辺より100-200m深かったことから、暖水塊の粘性減衰時間は数年スケールであると推定された。また、これらの層には非常に低温で厚さの大きい水塊が時折観測されており、オホーツク海系水の影響が示唆された。 現場観測は2009年8月に釧路沖の暖水塊を対象に実施した。暖水塊内部で水温・塩分・乱流強度の観測を実施し、流動を調べるための漂流ブイを3系とプロファイリングフロートを投入した。これらの観測から、暖水塊の上層で強い渦流が維持されていること、流速が弱くなる800m付近で乱流強度が上昇していることが明らかとなった。
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