2010 Fiscal Year Annual Research Report
非球形散乱過程と雲の立体形状過程の効率化と放射伝達モデルへの導入
Project/Area Number |
21740342
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
関口 美保 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (00377079)
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Keywords | 気象学 / 大気放射 / リモートセンシング |
Research Abstract |
大気放射モデルにおいて、氷雲などの非球形粒子の影響は計算負荷が大きいために無視されるか大幅に簡略化した形で計算されてきたが、近年の計算機性能の向上に伴い、世界的に非球形粒子について研究が盛んになりつつある。一方、我が国の大気放射モデルにはこれらの効果が取り入れられておらず、雲の影響をより正確に評価するためにも、研究を進める必要がある。今年度の本研究の目的は、非球形粒子の効果を導入した衛星解析用大気放射モデルを開発することである。 ナローバンドモデルRstar6bへ、テキサスA&M大学のPing Yang教授から提供を受けた非球形散乱データのうち、六角柱粒子について導入を行った。現在導入されている球形粒子は複素屈折率とサイズパラメータごとに散乱テーブルを作成しているが、提供を受けたデータは波長と粒子の最大次元長で作成されているため、異なる計算手法を用いる必要があった。そのため、このデータ用のサブルーチンを作成し内部で分岐させることで、これまでのユーザーインターフェイスから大きく変更すること無く非球形散乱過程の計算が可能となった。また、球形粒子とは散乱場が大きく異なり、前方の他に22度、46度に氷粒子に特徴的なピークがある。このため、これまでと異なり、10度から60度までの領域をより細かく、1度ごとにデータをテーブル化し、これまで74点だった角度格子を112点に増加させて散乱テーブルを作成した。 また、東海大の中島准教授らが作成した非球形散乱データを用いて計算を行った結果と比較を行った。まだ両者間で差が大きいため、何に起因するのか調査中である。
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