2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形次元削減法を用いた非線形システムにおける確率分布およびレジームの検出
Project/Area Number |
21740344
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西澤 誠也 神戸大学, 理学研究科, 助教 (40447892)
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Keywords | 非線形次元削減 / 確率分布 / レジーム |
Research Abstract |
本研究では、非線形システムの状態空間に埋め込まれている多様体を、従来の線形の次元削減法ではなく、非線形次元削減法を用いて抽出を行い、抽出された多様体上で気候レジームの検出を行うことを目的としている。 昨年度に実装を行った非線形次元削減の手法を、日本域降雨格子データに適用した。使用したデータはAPHRODITE (http://www.chikyu.ac.jp/precip/)である。降雨データは負の値はとらず、かつデータの多くが0付近に集中する特徴をもっている。従来の線形的な手法を用いることは不適当である可能性がある。線形次元削減法と、非線形手法の結果を比較した。線形的手法である主成分分析では、第1モードに日本全域にまたがる構造、第2モードに東・西日本で逆符号をもつ構造といった空間的に大きな構造が得られた。一方、非線形手法では、東海地方に集中した構造など、より局所的な構造を抽出することができた。局所性が高い現実の降雨現象の特徴を考えると、非線形手法の方が現実の現象をうまく抽出していると考えられ、非線形次元削減の有用性を示すことができた。非線形性が高いと考えられる他の現象においても、非線形次元削減法が有効であると考えられる。 また、抽出された低次元空間において、確率分布を求め、レジームの検出を試みた。しかしながら、ランダムな擾乱(レッドノイズ)の成分が大きいため、シグナルとノイズをうまく分離することが難しく、有意なレジームを検出することができなかった。
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Research Products
(4 results)