2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740346
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
碓氷 典久 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 研究官 (50370333)
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Keywords | 黒潮 / 大蛇行 / 海洋データ同化 / 感度実験 / 伊豆海嶺 / 海洋大循環モデル |
Research Abstract |
黒潮大蛇行の安定性と黒潮循環系の強度との関係について、海洋データ同化システムを用いた以下の感度実験により調べた。まず、大気再解析値から作成した風応力気候値、及び、その風応力を2割増加または減少させた3種類の風応力場の下でモデルを25年スピンアップし、基本場を作成する。各基本場に対して、同化システムにより2004年の大蛇行の海面高度観測値をアノマリ成分のみを同化し、九州沖の小蛇行の状態を再現する。その後、19か月間同化なしでモデルを積分し、大蛇行の生成過程や継続期間等を調べた。 風応力を2割減じた、黒潮循環系の強度が弱い状態に同化した場合、大蛇行は、紀伊半島の南付近に形成され、その後1年以上日本南岸に定在する。一方、循環強度が強い場合、黒潮による移流の効果が大きくなり、蛇行路は、伊豆海嶺に接するように形成される。また、形成後、定在することはなく、数か月で伊豆海嶺を通過し、その後蛇行の振幅が弱まり蛇行路は解消する。すなわち、大蛇行の安定性は、黒潮循環系の強度と密接な関係があり、循環強度が弱いほど安定して蛇行が存在できることが分かった。 また、同化システムによる再解析結果から日本南岸の黒潮流量を見積ると、2004年の黒潮大蛇行の解消時期に黒潮流量が増大していることが確かめられた。さらに、風応力場から見積もられるスベルドラップ流量は、大蛇行が長期間(約5年)安定して存在した1970年代は低流量の状態であったことを明示した。これらは、いずれも上記感度実験結果を支持している。
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Research Products
(6 results)