2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンサンブル同化データと全球大気モデルを用いた爆弾低気圧の予測精度研究
Project/Area Number |
21740348
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 聡 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球シミュレータセンター, 研究員 (90392969)
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Keywords | 爆弾低気圧 / アンサンブル予報 / 予測可能性 / データ同化 / アンサンブルカルマンフィルター / 大気大循環モデル / TIIORPEX / 気象予測 |
Research Abstract |
本研究の目的は高度なデータ同化プロダクトであるアンサンブル大気再解析データと地球シミュレータ用大気大循環モデルを用いて、爆弾低気圧の予測精度とその要因について明らかにすることである。今年度は気象庁、海洋研究開発機構、千葉科学大学によって開発・作成された実験的アンサンブル大気再解析データALERAの第一推定値(予測値)、解析値とこれらの差(インクリメント)および不確定性の指標(スプレッド)を用いて、日本付近で発達した爆弾低気圧の予測精度について解析を行った。まず、2005年11月から2007年1月までのALERA解析値の海面気圧に低気圧自動追跡プログラムを適用して爆弾低気圧を抽出した。この期間、爆弾低気圧は日本海上と三陸沖に集中して発達していた。そこで日本海上で発達した爆弾低気圧17事例と太平洋上で発達した23事例について、急発達期におけるインクリメントとスプレッドのコンポジット解析を行った。その結果、日本海上で発達した爆弾低気圧は北側に低気圧を予測する傾向がみられ、これは上層のトラフの伝播の予測と対応していることが示された。また、スプレッドは上層の正渦度付近と下層の寒冷前線付近で大きかった。一方、太平洋上で発達した爆弾低気圧は低気圧の位置の予測精度はよいが、その発達強度が過小評価する傾向が見られた。渦度に対する不確定性は日本海上のものよりも小さく、中下層の寒冷前線付近で大きかった。また低気圧中心付近での水蒸気量の不確定性が比較的大きい傾向が見られた。以上はこれまでの爆弾低気圧の発達要因に関する研究結果と整合的であり、発達位置による発達要因の違いが予測精度に影響していることを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(19 results)