2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740350
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高谷 康太郎 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境変動領域, 研究員 (60392966)
|
Keywords | 冬季東アジモンスーン / シベリア高気圧 / 寒冬・暖冬 / 中高緯度大気循環 / 北極振動(AO) / 予測可能性 / WPパターン / EUパターン |
Research Abstract |
冬季東アジアモンスーンの経年変動に大きな影響を与える要素として、本研究では特に(1)熱帯海水温変動の影響、(2)北極振動、(3)偏西風変動の3つに注目している。本年度は、上記(1)~(3)の各要因の精緻な力学的理解のための研究を、主に客観解析データ(観測データ)の解析により行うことを目的としていたが、大きな成果が得られたので以下に報告する。まず、(1)の熱帯海水温変動の影響については、ENSO活動と冬季東アジアモンスーンの活動との関連を調査し、ENSOの影響が初冬と晩冬では異なることを、より統計的に明確な方法で示した。(2)の北極振動に関しては、真冬の北極振動の形成に重要である初秋のユーラシア西部の大気循環、特に下層の熱的条件に注目した解析を行った。(3)の偏西風変動については、冬季東アジアモンスーン変動に伴って、対流圏上層ではユーラシア大陸上で偏西風が強く変動するパターンと、北西太平洋上で偏西風が強く変動するパターンとが見られる事、さらに両者とも惑星波の季節進行の変調として解釈可能であることを示した。さらに、北西太平洋上の偏西風変動は、成層圏の大気循環変動と関連している可能性を示した。また、以上の3つの要素に加え、(4)黒潮続流域での海水温変動に伴う大気循環変動の研究を進めた。これは、最近注目されている、中緯度における大気海洋相互作用の研究の一部でもあるが、冬季東アジアモンスーンに影響を与えうる力学的機構についての研究を進めた。 以上、研究に大きな前進が見られた。現在はこれらの成果を基に、複数の論文を作成中である。
|