2009 Fiscal Year Annual Research Report
統一残差平均理論に基づく南極周回流および赤道流のエネルギーと鉛直構造の解析の研究
Project/Area Number |
21740351
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
相木 秀則 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境変動領域, 研究員 (60358752)
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Keywords | 海洋物理 / 気候変動 / 気象学 / 数値シミュレーション / 地球流体 |
Research Abstract |
高解像度海洋数値モデルの結果を入手して、南極周回流、黒潮、メキシコ湾流を含む全球のエネルギー収支を中心に解析した。海流が海嶺や大陸棚にぶつかって生じる圧力応力と一般的な摩擦応力の効果を比較したところ、従来の定説と比較して摩擦の効果が一桁大きいことが分かった.この結果を発展させて、海洋モデルの相互比較に有用なメトリック(物理計測量)の提案、海底摩擦のパラメタリゼーション、海洋大循環の基礎力学の再検討等を中心に議論した論文を投稿した.とりわけ南極周回流の力学に関しては本研究で得られた順圧場(地形作用)に関する理解はAiki and Richards(2008, Journal of Physical Oceanography)で得られた傾圧場(不安定渦)に関する理解と双補完的である。 この研究と平行して、赤道域の鉛直構造・混合に関するエネルギー解析も行った.特に太平洋からインド洋に向かって流れるインドネシア通過流とインドネシア多島海の潮汐波・混合の相互作用に着目して、非静力数値モデルを用いたシミュレーションと詳細なエネルギー解析した結果をまとめて論文執筆中である.興味深い事に、潮汐流が海峡の地形ぶつかって潮汐波に変換される過程を記述するエネルギー方程式と、(上記の)南極周回流が海嶺にぶつかって圧力応力を受ける過程を記述するエネルギー方程式が、(現象としては全く異なるが)数式としては強い類似性があることが分かり、統一残差理論のさらなる発展可能性が示唆された。
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